1.概要
日本の内国法人または居住者が、非居住者や外国法人に対して一定の国内源泉所得を支払う場合、原則として源泉徴収を行う義務があります。日本の源泉徴収税(WHT)は、海外へ送金される前に日本国内で生じた所得に対する税金を確実に徴収するための仕組みであり、国際取引において非常に重要なコンプライアンス領域です。
2 . 主要トピック
源泉徴収税率
非居住者および外国法人に対する標準的な源泉徴収税率は20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)です。ただし、所得の種類や租税条約の適用の有無によって税率は異なります。
配当、利子、使用料
外国法人は投資ビークルを慎重に選択する必要があり、通常は日本支店を設置するか、現地法人(株式会社や合同会社など)を設立するかの選択となります。この決定により、税務プロファイルが根本的に変わります。
• 配当: 非上場株式の配当は原則20.42%、上場株式の配当は15.315%の源泉徴収の対象となります。
• 利子: 貸付金や債券の性質に応じて、15.315%または20.42%の源泉徴収が行われます。
• 使用料(ロイヤリティ): 特許権、商標権、著作権、ノウハウなどの使用対価には20.42%の源泉徴収が適用されます。
• 不動産賃貸料: 日本国内にある不動産の賃貸料を外国法人に支払う場合、20.42%の源泉徴収が必要です。
租税条約による減免
日本は広範な租税条約ネットワークを有しており、これにより標準税率の軽減または免除を受けることが可能です。ただし、条約の恩恵を受けるためには自動的に適用されるわけではなく、支払が行われる前日までに、日本の支払者を経由して所轄税務署に「租税条約に関する届出書」(該当する場合は特典条項に関する付表も含む)を提出する必要があります。現在では、これらの届出書をe-Taxを通じて電磁的に提出することも可能になっています。
申告および納付手続き
日本 の支払者は源泉徴収義務者として機能します。支払時に税金を控除し、支払った月の翌月10日までに日本の税務署へ納付しなければなりません。
コンプライアンス上のよくある問題
国際契約における「グロスアップ条項」は頻繁に問題となります。契約上、外国法人が税引き後の手取額(ネット額)を受け取ることが規定されている場合、日本の支払者が税負担を負うことになります。この場合、源泉徴収税はグロスアップされた金額に基づいて計算されなければならず、全体のコストが増加します。また、租税条約の届出書の提出が遅れた場合、標準税率(20.42%)が適用されてしまい、後日、時間のかかる還付請求手続きが必要となります。
4. 弊社のサービス
日本の源泉徴収税制や租税条約の適用には、正確な実務対応が求められます。当社のバイリンガル税務プロフェッショナルが、租税条約の届出、グロスアップ計算、コンプライアンス管理をサポートいたします。