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日本法人の法人税・地方法人税・地方税の基礎知識

2026年8月16日 by
日本法人の法人税・地方法人税・地方税の基礎知識
Liying Huang

はじめに

日本で事業を行う外資系企業にとって、法人税の仕組みを理解することは、適切な税務申告だけでなく、日本法人の設立・資金調達・利益計画・グループ間取引を検討するうえでも重要である。

日本の法人課税は、単に「法人税率」を利益に掛ければよいという仕組みではない。国税である法人税に加えて地方法人税が課され、さらに地方税として法人住民税や法人事業税などが課される。そのため、実際の税負担を検討する際には、これらを総合的に考える必要がある。

また、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税も導入されている。外資系企業が日本法人を運営する場合には、従来の法人税・地方税だけでなく、新制度も含めて税負担を把握することが重要である。

本稿では、日本法人を中心に、日本の法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税の基本的な仕組みと、外資系企業が特に注意すべきポイントを解説する。


1. 日本の法人課税の基本構造

日本法人が事業活動によって所得を得た場合、主として次の税金が関係する。

国税としては、法人税、地方法人税がある。また、2026年4月1日以後開始事業年度からは、一定の場合に防衛特別法人税も課される。

一方、地方税としては、法人住民税と法人事業税がある。

法人住民税には、法人税額を基礎として計算する「法人税割」と、所得の有無にかかわらず一定額が課される「均等割」がある。

法人事業税は、原則として事業所等の所在する都道府県に納付する地方税であり、所得等を基礎として計算される。一定の大法人については、所得だけでなく付加価値額や資本金等の額を課税標準とする外形標準課税も関係する。

したがって、「日本の法人税率は23.2%」という説明だけでは、日本法人が実際に負担する税金を正確に説明したことにはならない。


2. 法人税とは

法人税は、法人の所得に対して課される国税である。

日本法人の場合、原則として各事業年度の所得を基礎として法人税額を計算する。ここでいう「所得」は、単純な会計上の税引前利益ではなく、法人税法上のルールに基づいて計算する。

会計上費用として計上した項目であっても、法人税上は損金として認められない場合がある。例えば、一定の交際費、寄附金、役員給与などについては、税務上の限度額や要件が定められている。

そのため、外資系企業の日本法人では、海外親会社への支払いやグループ会社間取引についても、会計処理だけでなく法人税上の取扱いを確認する必要がある。


3. 法人税の税率

普通法人については、原則として法人税率は23.2%である。

一方、資本金1億円以下の法人など一定の中小法人については、所得のうち年800万円以下の部分について15%の軽減税率が適用される。ただし、適用除外事業者など一定の場合には、この軽減税率が適用されない。

年800万円を超える所得部分については、原則として23.2%となる。

したがって、「資本金1億円以下なら法人税率15%」という理解は正確ではない。15%が適用されるのは、一定の要件を満たす法人の年800万円以下の所得部分である。

また、資本金の額だけでなく、グループ会社との関係などによって中小法人に該当するかどうかの判定が変わる場合があるため、外資系企業では特に注意が必要である。


4. 地方法人税とは

地方法人税は、名称から地方税と思われやすいが、実際には国税である。

地方法人税は、法人税額を基礎として計算され、原則として法人税の申告と併せて申告・納付する。

現在の地方法人税率は10.3%であり、法人税額に対して乗じて計算する仕組みとなっている。例えば、法人税額が1,000万円であれば、単純化すると地方法人税は103万円となる。

重要なのは、地方法人税の10.3%を法人所得に直接掛けるわけではないという点である。

法人税と地方法人税はそれぞれ別の税金であるが、申告実務上は法人税申告書と一体的に処理されるため、法人税申告の際には地方法人税についても正確に計算する必要がある。


5. 法人住民税との違い

地方法人税と法人住民税は名称が似ているため、外資系企業から混同されることが多いが、両者は異なる税金である。

地方法人税は国税であるのに対し、法人住民税は地方税である。

法人住民税には、主として法人税割と均等割がある。

法人税割は、原則として法人税額を基礎として計算される。一方、均等割は所得が赤字で法人税が発生しない場合でも、一定の要件を満たす法人には課税される。

このため、日本法人が赤字であっても、法人住民税の均等割などの地方税負担が発生する可能性がある。

外資系企業が日本法人を設立する場合、「赤字なら税金は一切発生しない」と考えるのは適切ではない。


6. 法人事業税とは

法人事業税は、法人が行う事業に対して課される地方税である。

一般的な法人については、所得を基礎として事業税額を計算するが、資本金1億円超の一定の普通法人などについては外形標準課税の対象となる。

外形標準課税では、所得だけでなく、付加価値額や資本金等の額も課税標準となる。

そのため、利益が少ない場合や赤字の場合であっても、一定の法人については法人事業税の負担が発生する可能性がある。

なお、法人事業税は法人税等とは異なり、原則として損金算入が認められるため、法人税の課税所得にも影響する。この点も実効税率を計算する際に重要である。


7. 「実効税率」で考えることが重要

外資系企業が日本の税負担を検討する際には、法人税率23.2%だけを見るのではなく、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などを総合的に考える必要がある。

ただし、これらを単純に税率を足し算して「日本の法人税率」とすることも正確ではない。

特に法人事業税は損金算入されるため、法人事業税を含めた実際の税負担率を計算する場合には、その損金算入効果を考慮する必要がある。また、法人住民税の税率は自治体や法人区分等によって異なる。

したがって、日本法人の実効税率を検討する場合には、所在地、資本金、所得金額、法人区分、外形標準課税の対象となるかどうかなどを踏まえて計算することが重要である。


8. 2026年4月開始事業年度から「防衛特別法人税」に注意

2026年度以降、日本法人の法人課税を検討するうえで特に重要な変更が防衛特別法人税である。

防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用される新たな付加税である。

原則として、各事業年度の基準法人税額から年500万円の基礎控除額を控除した金額に4%を乗じて税額を計算する。

例えば、基準法人税額が500万円以下であれば、単純化した計算では防衛特別法人税は発生しない。一方、基準法人税額が500万円を超える場合には、超過部分に4%を乗じて計算することになる。

なお、防衛特別法人税については、税額が0円となる場合でも申告が必要となる点に注意が必要である。

外資系企業においても、日本法人が法人税の納税義務者となる場合には、この制度の適用関係を確認する必要がある。


9. 外資系企業が特に注意すべき「グループ間取引」

外資系企業の日本法人では、海外親会社やグループ会社との取引が多く発生する。

例えば、親会社からの借入金に対する支払利息、経営管理サービスの対価、ロイヤルティ、システム利用料、ブランド使用料などが挙げられる。

これらの取引については、単に契約書と請求書が存在すれば税務上問題がないとは限らない。

特に国外関連者との取引については、移転価格税制の観点から、取引価格が独立企業間価格に基づいているかを検討する必要がある。

また、支払内容によっては、日本の源泉所得税や消費税、租税条約の適用関係も検討する必要がある。

したがって、外資系企業の日本法人では、法人税申告だけでなく、国際税務の観点からグループ間取引を総合的に確認することが重要である。


10. 欠損金がある場合の法人税

日本法人が赤字となった場合、その事業年度について法人税が発生しないことがある。

ただし、赤字であることと、すべての税負担がなくなることは同じではない。法人住民税の均等割など、所得とは別の基準によって課税される税金があるためである。

また、一定の要件を満たす法人については、青色申告に係る欠損金を将来の所得から控除できる制度がある。

外資系企業の場合、設立初期には日本市場への投資や人件費、マーケティング費用などにより赤字となるケースも少なくない。そのため、欠損金の取扱いを含めて中長期的な税務計画を立てることが重要である。


11. 日本法人の法人税申告・納付

日本法人は、原則として事業年度終了後に法人税等の確定申告を行い、納付する。

一定の法人については中間申告・中間納付も必要となる。

法人税、地方法人税、防衛特別法人税については、申告書上で一体的に処理される仕組みとなっている。

一方、法人住民税や法人事業税については地方税として都道府県・市区町村への申告が必要となるため、国税と地方税を区別して管理することが重要である。

特に日本に初めて法人を設立する外資系企業では、税務申告先が複数に分かれることや、法人税と地方税で計算方法が異なることに注意が必要である。


12. 外資系企業の税務管理で重要なポイント

日本法人の税務管理では、単に決算書を作成して法人税申告を行うだけでは十分とはいえない。

海外親会社との取引がある場合には、移転価格税制、源泉所得税、租税条約、外国税額控除などの国際税務上の論点が発生する可能性がある。

また、日本法人の所在地や資本金、従業員数、事業規模によって、地方税や外形標準課税などの取扱いが変わる。

さらに、2026年4月1日以後開始事業年度からは防衛特別法人税も加わったため、従来の税務計算をそのまま使用するのではなく、最新の制度を確認することが重要である。


おわりに

日本の法人課税は、法人税だけで完結する制度ではない。

法人税に加えて地方法人税が課され、さらに法人住民税や法人事業税などの地方税が発生する。また、2026年4月1日以後開始事業年度からは、防衛特別法人税についても確認が必要となった。

特に外資系企業の場合、日本法人の税務だけでなく、海外親会社との取引、移転価格、源泉所得税、租税条約、外国税額控除など、国際税務と国内税務を一体として検討することが重要である。

日本への進出を検討している企業や、すでに日本法人を運営している外資系企業は、税率だけを見るのではなく、自社の事業規模、資本金、所在地、グループ間取引などを踏まえて、日本での実際の税負担と申告義務を確認することが望ましい。


MOCHIZUKI & associatesでは、外資系企業・外国法人の日本進出に関する会計・税務支援から、法人税・消費税申告、国際税務、グループ会社間取引に関する税務アドバイスまで、日本語、英語、中国語など言語面でも柔軟に企業の状況に応じたサポートを提供している。我々でのサポートを必要とされる方は、こちらまで。

日本法人の法人税・地方法人税・地方税の基礎知識
Liying Huang 2026年8月16日
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